工学系見習いの備忘録

工学系見習いの備忘録

YAMAHA SRV250 ルネッサについてのあれこれ

迫真整備部 チェーンオイラーの裏技

 はてなブログでブログ記事を書いていると,時々記事にスターが付けられることがある.そのスターが何故か3個セットで付けられており,気になって調べてみるとはてなブログ特有の慣行らしい.はえ^~などと感心しつつはてなブログのシステムについて見て回っていると,記事のアクセス解析なるものについて目にした.どうやらブログ記事に対するアクセス数や比率について分かるようだ.

f:id:Gazella:20200524213942p:plain

 

当ブログのアクセス解析を見てみると,「チェーンオイラーを作ろう(提案)」がアクセス数トップのようだ.記事内容を要約してしまえば,チェーンへの自動注油システムを作ったら1週間で壊れた,というものだ.そういえばそのうち作り直すなどと言いつつ完全に放置していたな.

gazella.hatenablog.com

 せっかくの機会なので自作チェーンオイラーのリベンジマッチといこう.

 

 

チェーンオイラーとは

 既に上で述べているが,チェーンオイラーとは走行中にチェーンに自動で注油できる機構のことだ.既製品の有名所さん!?にスコットオイラーというものがあり,これはエンジン駆動時にインテークマニホールド内部の負圧を動力としてオイルを供給するシステムだ.一切の電子制御を使用しないため堅牢で信頼性が高い,そしてお値段も高い.n諭吉という次元なので気軽に手を出せる製品ではない.

 そこでより手軽に自動注油を行うために考案されたのが重力落下式チェーンオイラーだ.これはオイルの供給を重力に任せ,バイクに乗っている時だけバルブを開放して駆動させるシステムだ.自分の性格からして絶対にバルブを閉め忘れることが予想できたため,上述の記事ではソレノイドバルブを使用してヘッドライトに連動して駆動するようにしていた.しかし,このシステムではバイク運転中にソレノイドが事実上のバッ直状態となるため,過熱によってソレノイドが破損してしまった.また,熱によってシーラントが溶けて駐輪場を油まみれにする池沼行為になっていた.

f:id:Gazella:20180715011620j:plain

 

 

重力落下式チェーンオイラー

ソフト構成

 さて,前回のチェーンオイラーの問題点はソレノイドに常時電流が流れてしまう点だ.また,単位時間あたりのオイル供給量の調整が難しい.これらの問題を解決するため,今回は簡単な電子制御を導入する.タイマを通すことで1分間に1秒だけソレノイドバルブを開けるといった制御を実現でき,ソレノイドの過熱問題と時間あたりのオイル供給量調整問題の2点を一挙に解決できる.

 電装は次に示す通りだ.電子回路の制御電圧は一般的に5Vなので,まずはACC電源をトランスに接続し5Vへと降圧する.回路中の弱い所でも6Vまで耐えられるそうなのでバッテリ電圧上昇で14V程度まで昇圧されても大丈夫でしょ(適当).

 続いてタイマーICと抵抗・コンデンサをいい感じ(適当)の値で接続する.これによって1分周期でデューティ比97%,つまり1分間に59秒HIGH信号が出力される.さて,このままでは欲しい信号と実際の信号とのHIGH/LOWが逆転しているため,信号の整流も兼ねてシュミットトリガインバータを通す.クッソ適当に説明するなら信号(0-5V)と比較して小さい振幅のノイズを取り除けるNot回路だ.こうして周期1分,デューティ比3%の矩形波が得られた.しかしこの信号は25mAが出力電流の限界であるため,定格12V,540mAのソレノイドを直接駆動することはできない.

 そのため,ソレノイドの電源はバッテリから引き,トランジスタをスイッチとして利用することにより駆動する.トランジスタ単体での電流増幅率が最低40倍であることに加えそもそもICに限界出力を出させたくないため,パルス信号を10mAとした上で同じトランジスタダーリントン接続して増幅率を乗算する.加えて電流値制御のために抵抗を,逆起電力対策にダイオードを配置する.こうして1段目のトランジスタが100mAを流すスイッチ,2段目が540mAを流すスイッチと化し,めでたくソレノイドを駆動できるわけだ.

f:id:Gazella:20201101152937p:plain

回路図作成には水魚堂の回路図エディタを使用.アリシャス!

 

 んにゃぴ・・・色々それっぽいこと書いてるけど電子工作素人がネット情報漁りながら頑張って書いた程度の構成だから信用できないですよねとりあえず・・・(本人も回路の動作原理をよく把握していないから細かい説明は書か)ないです.ネット上に転がってる情報のキメラだから誰でもできるぞ. 

 実際に基板上に実装した回路の設計図がこれだ.ターミナルブロックは表面の左から順にトランス5V側・ソレノイドバルブ・バッテリ・トランス12V側へと接続する.一般的なトランジスタの足はECBらしいが今回用いた2N2222AはEBCとなっている.規格統一して♡

f:id:Gazella:20201103164927p:plain

 ユニバーサル基板上の回路図作成にはmarmeloを使用.アリシャス!(再掲)



ハード構成

 電装・ソフトウェアの方針が決定したので,オイルをチェーンへ注油するための機構を作製する.以前のチェーンオイラーと同様に,オイル貯蔵部と注油ノズル部を別体で作製して燃料ホースで連結する.

 まずはオイル貯蔵部の外観を示す.初号機では容器側面にソレノイドバルブを固定して一体形としていたが,接続部からのオイル漏れを防ぐために手間取ったため今回は別体とした.オイルOUTおよびエアINの穴は容器底面に設け,エアINからのコンタミ混入を防いでいる.逆流防止として容器内部でホースを伸ばしているが,フルバンク停車した暁にはオイルぶち撒け待ったなしだ.

f:id:Gazella:20201107174437j:plain

f:id:Gazella:20201107174521j:plain

 

 容器から伸びた配管はソレノイドバルブを介して注油ノズル部へと接続される.このバルブが先述のタイマで駆動されることで程よい注油量を達成できる.

f:id:Gazella:20201107174547j:plain

 

 続いて注油ノズル部の外観を示す.この部品はスイングアームエンドのねじ部に取り付けることでスプロケットとノズルとの相対位置を固定するための部品だ.金属管部分は銅やアルミ,何だったらアクリルでもよいが,色合いを統一するために真鍮とした.

f:id:Gazella:20200613174052j:plain

 

 この部品には曲げた真鍮パイプを使用しているが,パイプをそのまま掴んで曲げると流路が詰まる.そのため今回はパイプに砂を詰め込んだ状態でバーナによって加熱して曲げるという,ある種古典的な手法を採用した.充填が不十分でも砂がパイプの潰れを防ぎ,ある程度の流路を確保してくれるのでお手軽だ.加熱中は熱伝導によりパイプが全体的に熱くなるので,余分な長さを確保しておいた方が加工しやすい.曲げ加工が完了したらパイプカッタで適切な長さに切断する.

f:id:Gazella:20200613175029j:plain

 

 このままでは加熱部がくすんだ色になって外観がよろしくないので表面を磨く.金属磨きといえば皆様お馴染みピカールの出番だ.スコッチブライトに少量垂らして磨けばどんな金属もピカピカになる.まあ使用環境考えたらこんなことしたところで無意味だがな.

f:id:Gazella:20200613180034j:plain

 

 ところで前回のチェーンオイラー記事では万が一の事態のために注油ノズル部先端を燃料ホースにしていたが,後になって考えると何の対策もなしにこの構造を採用することはおすすめできない.というのもノズル径が太い場合には,下図(a)に示すようにノズルから外気が侵入してオイルが流れ落ちるのだ.すごく嫌らしい穴だよ.この現象を防ぐためには,図(b)のように表面張力によってオイルがノズル内部に留まることができる径にしてやる必要がある.しかしそんな径の燃料ホースを接続するための構造を新調するのも面倒だ.というわけで今回はノズル先端ではなくノズル内部で径を絞ることでエア流入を防ぐことにした.具体的には図(c)に示すようにイモネジの中央にΦ2の穴をあけ,ノズル取り付け部の真鍮配管にねじ込むだけだ.いわゆるオリフィスだな.Φ2には特に根拠はない,(ちゃんと計算すれば最適値が出るのだろうが面倒すぎるので)ないです.

f:id:Gazella:20201108090536p:plain

f:id:Gazella:20201108173910j:plain



 

取り付け

 実際に車体に取り付け,燃料ホースの接続を行った.相変わらず点滴みたいな見た目してんなお前な.

f:id:Gazella:20201115161058j:plain

 

 接続が完了したら流路内部に油を満たすためにしばらくソレノイドを開けてやる.ついでにソレノイドバルブがエアインテークを有する仕様だったのでシーラントで埋めてやった.出口側流路内の流体残留を防ぐためなのだろうが今回に限っては余計なお世話だ.もののついでで配管接続部も養生した.シールテープからの漏れはほぼ無いだろうが念のため.

f:id:Gazella:20210307203533j:plain

 

 電装は車体右側の工具入れに突っ込むことにした.考えられる限りこのバイクの中で最も濡れづらい場所だからな.基板表面をホットボンドで養生し,万が一の雨水流入にも申し訳程度に対応している.

f:id:Gazella:20201115161746j:plain

 

 

あとがき

 この感じ,いい感じだで.以前のチェーンオイラーみたいに停車場所がオイルドバドバになることもなければソレノイドバルブが焼き切れることもない.チェーンには常に油の輝きがあってしっかりと潤滑されていることが分かる.難点を挙げるとすればリアタイヤの左側面がオイルまみれになっていることだろうか.僅かではあるがリアタイヤの接地面側にもオイルが付着しており,左側に深いバンク角をとった際にスリップする可能性が微粒子レベルで存在する...?そんな攻めた走りしないし大丈夫でしょ(適当)